【レポート】多和田葉子の朗読&トーク「熊の手とウンゲツィーファー」at恵文社

雪の練習生kafuka

ドイツ在住の小説家、多和田葉子さんの朗読会に、京都一乗寺の恵文社へ訪れました。
多和田葉子さんはドイツ語と日本語の両方で小説を書く、エクソフォニー(母国語の外)の作家として知られ、両言語の境界線に立ちながら、その境界線を越境する言語の実験性に富む特殊な小説家です。(個人的にはノーベル文学賞に最も近い日本人作家と思っています)

朗読会では、黙読するテキストと、朗読するテキストの違いに触れ、その後、朗読用の詩、猫がモチーフになった数々の詩の朗読が行われました。(猫好きなので嬉しい)
中には、ドイツ語で朗読されていたものもあり、漱石の「吾輩は猫である」を日本語とドイツ語との両方で交互に朗読するパフォーマンスには、音楽ライブのようなグルーヴのある、美しい言葉の響きが、会場を飛び舞っていました。

朗読も印象深いものでしたが、自著「雪の練習生」の解説や、カフカの「変身」の新訳に触れたトークも刺激的で、”変身”を”かわりみ”と訳すなど、言葉そのものの解釈には、両言語の境界線に立つエクソフォニーが、どういう状態であるか、どういう感覚を持ち合わせているか、そんなニュアンスが非常によくわかるお話しをされていました。

観客との質問の対話では、日本の民主主義が失われつつあることに、切実に「もったいない」という言葉を何度も繰り返し、日本の現在の状況を憂う心情が表れていたのが印象的です。

2時間近く、朗読とトークが行われましたが、あっという間の時間で、生で多和田葉子さんの言葉に触れることができたのは、ただただ感動。小説同様、言葉遊びに満ちた言語感覚を揺さぶられる朗読会でした。

そして、驚いたのは会場で、ダムタイプのパフォーマーとしても活躍されるダンサーの平井優子さんが、観客として来られており、声をおかけして、御挨拶しお話しできたのが予想外の嬉しい出会い。いろいろと忘れられない朗読会でありました。

唯一、一乗寺でラーメンを食べ損なったのが悔やまれる。。
(一乗寺はラーメン通りがあり、関西のラーメン激戦区として有名)

(↓イベントを主催された熊谷充紘さんのインスタグラムを引用 写真は朗読会の模様)


以前の記事で多和田葉子さんの著書「献灯使」についても書いています。「献灯使」は大推薦!
【書評】多和田葉子 献灯使

 

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