中沢けい×平野啓一郎 公開対談のレポート -アンチヘイト・ダイアローグ-

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中沢けいさんの『アンチヘイト・ダイアローグ』刊行記念イベントで平野啓一郎さんとの公開対談に行ってきました。場所は京都BALの地下2F丸善カフェ。

僕はお二人の目の前に座り(平野さんと、わずか2、3歩ほどの距離)まるでカフェで一緒にお茶をしているような臨場感でお話を聞いていました。
対談の内容はヘイトスピーチを中心とした現代社会について。以下メモ書き

中沢
ヘイトスピーチは暴力。カウンターデモに参加したひとは、尊敬しているし、素晴らしい行動だと思っている。暴力に暴力で返しても意味がない、叱ってやるつもりでこの問題に向かっていた。

平野
言論の自由は守る必要があるが、ヘイトスピーチのようなものを否定するには国民全体で共有するようなある価値観のようなものが必要。例えばフランスの自由、平等、博愛のような精神。

中沢
ネット空間では一番弱いものが攻撃されている。攻撃対象を間違えた誤認攻撃が目立つようになった。誤認攻撃を戦略的にやっているところがある。

平野
マスコミは記事を書いた個人名を晒さない方が良い。記者が炎上を恐れて自粛している傾向があり、面倒なことに巻き込まれたくないという雰囲気が広がっている。
自己検閲と他者への無関心が問題化している。

ヘイトスピーチを世の中からなくしていくためには?

平野
自分たちが、韓国人や中国人と仲良くしているところを、あからさまに見せてこっち側が素晴らしいと誘導する。自分たちの周りから成功事例を作れば全体に広がるのではないか。
なかなか人の考えや価値観は変えられないし時間もかかるが、こちら側に引き寄せることは可能。

公開対談を聞いての感想

対談では、ネットの個人攻撃の問題、ネット空間の状況、後藤 健二さんのお話、マイノリティへの差別、パリのテロ事件など、多岐に渡る対話でした。
個人的に印象に残ったのは、ネットの情報には誤りが数多くあり、それらを判定し正確な情報を共有する為のバスターとなるサイトが必要だというお話。
各新聞社はそれぞれが主張を繰り返しているだけで論点ばかりが増え、議論がされていないのが現状。議論する場を定期的に設け議論の水準を上げるべきという考察に共感しました。
また、お二人の対話には小説家の言葉を感じる瞬間が数多くあり、暴力的言説に抗議する明確な態度に感銘を受けました。

対談の後は、サイン会がはじまり、平野さんに「今日はお会いすることができて幸せでした」という恋する人に告白するかのような言葉を発してしまいました(笑)
また、イベントの直後にFBで投稿した内容に、お二人からリアクションがあり、ファンに優しい人柄にも感激しました。
現代を直視する二人の小説家の対話に、今をどういう時代と理解し歩むべきか、的然な回答を得た刺激的な対談でした。
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平野啓一郎サイン本 中沢けいサイン本

 


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アンチヘイト・ダイアローグ(人文書院) 中沢けい 著

Ⅰ アジアとつながる意志 ×中島京子
Ⅱ シニシズムを放棄する ×平野啓一郎
Ⅲ 声を出す、自分がある ×星野智幸
Ⅳ 民主主義の彩り方 ×中野晃一
Ⅴ ヘイトの源流を辿って ×明戸隆浩
Ⅵ 日韓で補い合う経済 ×向山英彦
Ⅶ 誰のための裁判か ×上瀧浩子
Ⅷ 親鸞から考える ×泥憲和

内容紹介
メディアで、路上で、SNSで、隣国や在日などへの憎悪が煽られ続けている。他方で政権与党は、ヘイトスピーチの広がりと歩調を合わせるかのように、復古的な改憲運動を推し進めている。これを冷笑している時間はない。旗幟を鮮明にしたリアリストたちと縦横無尽に語る、ヘイトスピーチ、安保法制、そして民主主義の現在。

中島京子(作家)、平野啓一郎(作家)、星野智幸(作家)、中野晃一(政治学者)、明戸隆浩(社会学者)、向山英彦(エコノミスト)、上瀧浩子(弁護士)、泥憲和(市民運動家)との対談を収録。

 

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